マンションが売れない!マンションを売るための対策とは?
「マンションを売りに出しているのに、なかなか買主が見つからない……」と悩んでいる方は少なくありません。
実は、売れないマンションにはいくつか共通する特徴があり、物件自体に問題があるケースだけでなく、市場の状況や売り出し方に原因がある場合も多いのです。
しかし、その理由や改善方法を知らないまま販売活動を続けてしまうと、販売期間が長期化し、価格を下げざるを得ない状況に追い込まれることもあります。
そのため、売れない理由を正しく理解し、早めに対策を講じることがとても重要です。
本記事では、マンション売却に苦戦している方に向けて、売れないマンションの特徴と、スムーズに売るために取るべき具体的な対策をわかりやすく解説します。
売れないマンションの特徴とは?
よほどの物件でない限り、価格を調整すれば、マンションは売却できます。しかし売れにくいマンションには、いくつかの共通したポイントがあります。
まずは、ご自身のマンションで当てはまる点がないか、参考としてチェックしてみてください。
築年数が需要と合っていない
近年、中古マンション市場では、築年数が古い物件の需要が高まっている傾向にあります。
新築マンションの供給が減っていることもあり、中古物件に目を向ける方々が増えているなかで、建物性能の向上や、リフォーム・リノベーションの選択肢が増えたことで、「築年数は古くても、自分好みに住まいを整えられる」という考え方が一般的になってきたためです。
一方で、築10年までの比較的築浅の物件や、大規模修繕を控えた築25〜30年のマンションは、以前ほどの人気が見られないケースもあります。
価格帯や将来必要になる修繕費の見通し、競合物件の数などが影響し、結果として売却が長引いてしまうことがあります。
このような例のように、マンションの築年数が現在の市場の需要と合っていないことが、売れにくさにつながる大きな要因となっています。
管理費や修繕積立金が高い
管理費や修繕積立金は総戸数などにおり大きく変わりますが、これらの費用が相場より高いマンションは、購入希望者にとって毎月の負担が大きく感じられるため、敬遠されやすく、売れにくい要因のひとつになります。
そのため、まずは周辺エリアや同規模のマンションと比較して、管理費や修繕積立金が適正な水準にあるかを把握しておくことが大切です。
また、金額だけでなく、管理組合が適切な長期修繕計画を立てているかどうかも重要なチェックポイントです。
将来、大規模修繕を行う際に多額の追加徴収が必要になる計画になっている場合、購入希望者に不安を与え、結果として売却が長引く原因につながることがあります。
このように、管理費や修繕積立金が適正かどうか、そして修繕計画が健全かどうかを確認しておくことで、売却がスムーズに進む可能性が高まります。
人気のないエリアに立地している
利便性が低い、公共交通が不便、災害リスクが高いといった理由から、一般的に購入希望者から敬遠されやすいエリアに立地しているマンションは、どうしても売れにくい傾向があります。
ただし、これはあくまで「一般的な傾向」であり、職場が近い、実家が近い、子育て環境が合っているなど、そのエリアならではのメリットが購入者にとってプラスに働く場合もあります。
また、災害リスクが気になるエリアであっても、最新の防災対策が講じられているマンションであれば、不安を軽減できるケースもあります。
そのため、単に「人気のないエリアだから売れない」と考えるのではなく、どのような層に需要があるのかを改めて整理してみることが重要です。
さらに、マンションの強みや安心材料を購入検討者にしっかり伝えられているかどうかも大切なポイントです。
交通利便性以外の価値(立地ブランド、治安の良さ、自然の多さ、周辺環境の静けさ、近隣施設の充実など)を再確認し、不安を払拭できる情報やアピールポイントを強調することで、購入層の目に留まりやすくなります。
このように、立地によるマイナスをそのままにせず、「誰にとってメリットになる物件なのか」を明確にすることで、売却の可能性を高めることができます。
売り出し価格が高すぎる
マンションの売却が長引く理由としてよく見られるのが、売り出し価格(公募価格)が相場より高く設定されているケースです。
査定を依頼した際、十分な説明を受けないまま「高い査定額を提示してくれたから」という理由だけで不動産会社を選んでしまうと、結果的に適正価格よりも高い金額で販売をスタートしてしまう可能性があります。
もちろん、値下げ交渉を見越して、最初にやや高めの価格で売り出す戦略自体は一般的であり、必ずしも悪いことではありません。
しかし、相場から大きく外れた価格設定は購入検討者に敬遠されやすく、内覧数が増えず、結果として売却期間が長引いてしまう原因になります。
そのため、売却前には、売り出し価格の根拠や近隣エリアの相場がどの程度かを不動産会社にしっかり確認することが重要です。
適正な価格帯を把握できれば、購入者の目に留まりやすくなり、スムーズな売却につながりやすくなります。
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マンションには問題がないのに売れない場合がある?
ここまで売れないマンションの特徴についてご紹介しましたが、マンションには問題がないのに売れない場合もあることを知っておきましょう。
不動産会社が積極的でない
マンションがなかなか売れない背景として、依頼している不動産会社が積極的に動いていないというケースも考えられます。
不動産会社といっても、それぞれ得意分野が異なり、賃貸を中心に扱う会社もあれば、売買に強い会社、特定エリアに特化した会社などさまざまです。
そのため、所有しているマンションのエリアや物件タイプに詳しくない会社へ売却を依頼すると、得意分野ではないために積極的な販売活動が行われにくい場合があります。
担当者の経験や知識、販売戦略の立て方によっても動き方は大きく変わるため、会社選びは売却成功の重要なポイントです。
さらに、不動産会社との間で締結する「媒介契約」の種類によっても、積極性が変わることがあります。
媒介契約には3つの類型がありますが、一般媒介契約は複数の会社へ同時に依頼できる反面、成約に至った会社以外は報酬を得られません。
そのため、不動産会社によっては優先度が下がり、十分なサポートが受けられない可能性があります。
一方で、他社に重ねて依頼できない専任媒介契約や専属専任媒介契約を選択すると、担当会社の責任範囲が明確になり、販売活動に力を入れてもらえるケースが多くあります。
売却活動が思うように進まない場合は、媒介契約の種類や不動産会社の強みをあらためて見直してみることも大切です。
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内覧の対応が不十分
内覧の申し込み自体は入るのに、その後の検討につながらない場合は、内覧時の対応に課題がある可能性があります。
とくに居住中のマンションを売却する場合、家具や生活用品があるため、生活感を完全に消すことは難しいものです。しかし、購入希望者は内覧の際に「ここでの生活をイメージできるか」を重点的に見ています。
そのため、引越しを見据えて断捨離を進める・荷物を減らす・全体的な清掃を丁寧に行うなど、少しの工夫で内覧の印象を大きく改善できます。
玄関や水回りを清潔に保つ、カーテンを開けて明るさを出す、生活動線を広く見せるといった細かなポイントも、購入検討者の印象を良くする重要な要素です。
一方で、空室状態のマンションの場合は、生活のイメージがわきづらいという難点があります。
このようなケースでは、ホームステージング(モデルルームのように家具や小物を配置する演出)を行うと、室内の魅力が伝わりやすく、成約につながる可能性が高まります。
最近は簡易的なホームステージングサービスも増えており、費用を抑えつつ効果を出すことも可能です。
内覧は購入検討者にとって最も重要な判断材料のひとつです。
「見せ方」を少し工夫するだけで反応が変わることも多いため、積極的に改善していくことが大切です。
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時期が悪い
マンションの購入需要には季節的な傾向があり、もっとも動きが活発になるのは2〜3月ごろといわれています。
4月の新生活に向けて、進学や就職、転勤などのタイミングで住まいを探す人が増えるため、この時期は購入検討者の母数が自然と大きくなります。
買主は一人見つかればよいものの、多くの人の目に触れるほど売却のチャンスは高まるため、需要が高まる時期に合わせることは重要です。
一方、需要が落ち着く時期に販売を始めると、内覧数が伸びず「売れない」と感じやすくなります。
その場合は、一度販売を休止して時期をあらためるなど、売却タイミングを調整するのも有効な選択肢です。
また、同じマンション内に売り出し中の物件がある場合は、とくに注意が必要です。
購入者は自然と比較を行うため、価格・間取り・階数・内装状態などが並べて見られ、条件次第では不利に働くことがあります。
そのため、自分のマンションの強み(眺望が良い、日当たりが良い、リフォーム歴がある、設備が充実している 等)を明確に整理し、他の物件との差別化をアピールできているかをあらためて確認しておくことが大切です。
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3ヵ月以上売れないときは見極めのとき
売却活動を始めてから3カ月以上経っても成約につながらない場合は、何かしら原因が隠れている可能性があります。
マンションそのものの条件に理由があることもあれば、売り出し方や不動産会社の動き方が影響しているケースもあります。
いずれにしても、売れない状態が長く続くと、価格の見直しや販売戦略の変更が必要になることも少なくありません。
そのため、この段階で一度立ち止まり、次に紹介するポイントをチェックしながら、改善できる点がないか見極めていくことが大切です。
不動産会社の検討
まずは、依頼している不動産会社がそのマンションのエリアでの売買にどれだけ強みを持っているかを改めて確認してみましょう。
不動産会社はそれぞれ得意とする地域や物件タイプが異なり、エリアに詳しくない会社の場合、購入希望者への訴求が十分に行えないことがあります。
担当者の販売実績や、過去にそのエリアでどの程度の成約を出しているかなどを聞いてみると、会社の強みが把握しやすくなります。
もし現在の不動産会社がエリア性や売買に強くないと感じる場合は、思い切って別の不動産会社へ切り替えることもひとつの選択肢です。
エリアに精通している会社であれば、適切な価格設定や販売戦略を提案してくれる可能性が高まり、売却のスピードにも差が出ることがあります。
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媒介契約の検討
前段でも触れたように、現在の媒介契約が一般媒介契約になっている場合は、販売活動の優先度が低くなりやすい傾向があります。
売却が長引いているときは、専任媒介契約または専属専任媒介契約への変更を検討してみるとよいでしょう。
どちらも契約期間の上限は3カ月で、売却に向けて一社にしっかり動いてもらえる仕組みになっています。
それぞれの特徴は次のとおりです。
【専任媒介契約】
・他の不動産会社に重ねて依頼することはできない
・売主自身が買主を見つけて契約することは可能
・不動産会社は 2週間に1回以上の進捗報告義務 がある
専任媒介契約は、不動産会社が “優先的に販売活動に取り組みやすい” 形のため、積極的な動きを期待しやすい契約です。
【専属専任媒介契約】
・他の不動産会社に重ねて依頼することはできない
・売主自身が買主を見つけて契約することはできない
・不動産会社には 1週間に1回以上の進捗報告義務 がある
専属専任媒介契約は、より密な報告体制が義務づけられており、不動産会社が最も積極的に動きやすい契約形態です。
広告費の検討
不動産会社は、販売活動の一環として物件の広告宣伝を行いますが、その内容には会社ごとに違いがあります。
基本的な広告は依頼した不動産会社が行ってくれるものの、より多くの購入検討者に物件を知ってもらいたい場合には、追加の広告費を支払うことで露出を増やすことも可能です。
具体的には、ポータルサイトでの上位掲載、写真撮影のグレードアップ、チラシ配布の強化、SNS広告の実施など、広告メニューは多岐にわたります。
こうした施策を行うことで、物件を見てもらえる機会が増え、売却につながる可能性が高まります。
売却がなかなか進まない場合は、一度不動産会社に相談し、どのような広告施策が選択できるのか、費用対効果はどうかを確認してみるのもよいでしょう。
予算に応じてできる対策もあるため、選択肢として知っておくことは大切です。
業者買取の検討
さまざまな対策を試しても売却が進まない場合、不動産会社による業者買取を検討するという方法もあります。
業者買取は、市場に出して買主を探す通常の売却とは異なり、不動産会社が直接マンションを買い取ってくれる仕組みです。
買取金額は相場より低くなる傾向がありますが、
「確実に売れる」「現金化までのスピードが早い」 という大きなメリットがあります。
とくに、転居の期限が迫っている、離婚や相続で早期に手放す必要がある、資金計画の都合で現金化を急ぎたい——といった状況では、有効な選択肢となります。
また、売却期間が長期化すると、購入検討者に「何か問題があるのでは?」と勝手に憶測され、さらに売れにくくなる悪循環に陥ってしまうこともあります。
売主自身も「いつまでも売れないのでは」という不安が強くなり、精神的な負担が大きくなる時期です。
こうした状況を避けるためにも、業者買取が選択肢として適しているかどうか、現在依頼している不動産会社に一度相談し、費用感や手続きの流れを確認しておくと安心です。
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まとめ
マンションを売り出しても、思ったように買主が決まらない状況が続くと、不安や焦りを感じるのは当然のことです。
とくに住み替えの予定がある、資金計画上どうしても売却期限が決まっているといった場合には、その不安は一層大きくなりがちです。
まずは、所有するマンションの強みと弱みを整理し、どのような層に魅力が伝わりやすいのかを明確にしておくことが重要です。
「何をアピールできるのか」「どうフォローすれば不安が解消されるのか」を理解しておくことで、的確な売却戦略を立てやすくなります。
そのうえで、売却活動を開始してから3カ月以上動きがない場合は、一度立ち止まり、売れない理由を客観的に見直すタイミングです。
不動産会社任せにするだけでは状況が変わらないこともあるため、売主自身が「次にできること」を主体的に考える姿勢が大切です。
信頼できる不動産会社とともに、販売方法や価格設定を再検討したり、場合によっては業者買取という選択肢も視野に入れたりしながら、最適な売却方法を探っていきましょう。
売却戦略を見直しながら進めることで、マンション売却は前へと動き始めます。
氏
不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーション、CREコンサルティングなどを行うかたわら、同分野の連載を月15本、テレビ、ラジオのレギュラー番組への出演 多数。
また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演を毎年多数。
HP
https://www.yoshizakiseiji.com/
著書
間違いだらけの住まい選び
「不動産サイクル理論」で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術
データで読み解く賃貸住宅経営の極意
大激変 2020年の住宅・不動産市場
「消費マンション」を買う人 「資産マンション」を選べる人
など全12冊、他連載多数
